3年が経ちました
標記については平成25年3月末にとうとう終了致します。
この法律については営業および融資事務の両立場から経験してきましたが、
正直、倒産の先延ばし以外の何ものでもなかったのかなと、実感しています。
倒産の先延ばしという行為がが完全な害悪かと言えば、そうではなく、
当然、その間(この場合は円滑化法に基づくリスケ実施期間中)に、
事業改善が図れた場合は、債務者・金融機関共に有意義なリスケに
なるのですが、現状として僕が目にした先ではそういった事例は
ほとんどありませんでした。
これは事業改善が行われた企業がないということではなく、
『金融円滑化法によって』事業改善が行われた企業がなかった
ということなのです。
上記の事はあくまで僕の経験則ですので、実際は何社かあるのかもしれませんが、
全体の中で言えばそれはごく一部であり、所謂『例外』なのではないでしょうか。
では何故金融円滑化法によって改善が図れなかったのか?
①金融機関の問題点
まず我々側の問題点として、リスケ実施後の事後対応が不十分であった、
これが挙げられると思います。
上で書いたように色々な形態がありますが基本的にリスケというものは
返済の先延ばしによる資金繰りの改善です。その間に事業改善が行われ
なかったらリスケ期日到来時に資金繰りが詰まるだけの事です。
ここで重要なのはリスケ中にいかに事業改善を行うのかという事。
融資の現場としてはこの部分を顧客任せにして対応を行ってこなかった
のではないでしょうか?
理由を考えれば、リスケ実施時に金融機関(主に担当者)が企業の方向性を
みていなかったという事かと思います。
方向性とは、言葉は悪いですが平たく言えば「企業を生かすか殺すか」
事業再生が可能か不可能か、部分的にも不可能か。
可能な場合はどういった方向性で生かしていくか。
不可能な場合はいかに軟着陸(対従業員及び債権者等)させるか。
それを一切考えずに
リスケしてくれ⇒とりあえずリスケ実行
事業計画は?⇒とりあえず再生可能で
経営改善計画⇒今は作れないのでとりあえず1年以内に策定見込み
リスケ実行後⇒色々忙しいしリスケ終わったら客も何も言ってこないので放置
そして期日到来後上記の繰り返し…
これが現状かと思います。
②債務者の問題
債務者の問題としては何があるのか?基本的は上記に書いたリスケ期間中の
行動なのですが、リスケをしてもらってそれで満足している企業が多いという事。
期限到来時に金融機関が状況を尋ねても、
「景気が悪いのでもう一回リスケしてくれ」と回答する企業がいかに多いか、
僕が担当した企業で一番酷かったのが、
「所有不動産(賃貸マンション)が売れるまで、元金返済を待ってくれ」
事業での返済原資がないのですからこれはわかります。
「ただ売買価格については当初建築価格から計算して損するような
金額にはしたくない。」
ん???
「因みに、その間に必要な資金(事業の赤字補てん資金ですね)は
銀行が責任をもって出してくれ」
ん??????
「返さないと言っているわけではない」
もうわけがわかりません。
要するに事業を改善する意思がないのですね。
ここまでの企業は稀ですが、大なり小なり事業改善する意思が希薄で
極端に言えば「景気が良くなるまで銀行は返済を待つ義務がある」
と考えているのです。
③政府・行政の問題
最後のこの法律を作って運用している部署の責任について
端的に言えば、リスケ件数と金額だけ集計して終わっているという事。
実際にそこの現場で何をしているのかの詳細は知りませんが、
報告する側として、リスケ時期・金額等の数字以外に報告していないので
それ以上の現場の状況なんて知る余地もないのでしょう。
そうでないのならば何をしていたのか教えてほしいです。
そんな法律もあと1ヶ月少々で終了です。
個人的に所謂中堅行員としての3年間をこの法律と一緒に歩んできたわけですが、
唯一よかった点は自分の自己査定能力(金融機関が自分の融資先を査定する能力)
が向上したことでしょうか。
まあしかし、この3年間は長い様で短かったですね。